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■ 200句精選シリーズ

「冬桜」
篠塚かつ

「冬夕焼父母ありし日の大家族」

戦後の激動の時代を生き抜いてきた著者。
振り返るといつもそこには家族がいた。
泉下の父母、そして亡夫に捧げる。
鎮魂の一書。

       


■ 
オリジナル句集
「午後の時間」丸山登志夫
「午後の時間」
丸山登志夫

「人生ここまで辿り着きし夏至」

句集「午後の時間」は最初から人生とはと、
一貫して人生派を宣言した句集であり、
ことば表現の巧みさよりも、自分の人生がどうであるかのか、
その一言のみに集中した句集である。
             …宮坂静生
「天の河」 三木あゆみ

「天の河」
 三木あゆみ

母の忌の母を尋ねて天の河

句集「天の河」は、大自然に浸り宇宙に思いを馳せ、
大らかに生きて生きたいと願っている想いの作品群ではないか。
   三木星童(「序文」より)

「流螢」 大橋規倭子

「流螢」
大橋規倭子

「流螢に堰落ちる音激しかり」

大橋規倭子さんが第一句集を出すからと、送ってきた句稿をしばらく読むと、「流螢に堰落ちる音激しかり」という句が目に飛び込んできた。
私は規倭子さんにふさわしい句集名は「流螢」だと思った。流螢とは飛び交う螢火のことである。選句を終えた今、規倭子さんは俳句をこれからの暮らしの一つの柱にしようと決意しているように私は思っている。
                    茨木和生
「奥羽の時代」岡 正実
「奥羽の時代」
岡 正実

今世紀は奥羽の時代べにの花

一巻のタイトルを、掲句から私が選んでみた。
岡正実という人間をうまく言いとめていると思うし、さらには正実の時代とまで言い添えたい。
                  伊藤白潮

「雪意」 十見達也
「雪意」
十見達也
  君もまた、越路早稲田の卒なるよ

「銀化」同人第一句集

このウイットはどうだろう。
日本人が心の拠とする同胞意識。"君もまた"と再認識を迫りつつ、同郷の誼を詠う。
同期の桜ならぬ越路早稲田、言うまでもなく早稲田大卒にひっかけて、(出来の良い)越後米だと洒落ているのである。

「綱代笠」久保 英二
「綱代笠」
久保 英二

透徹した写生観は長年の誓子先生に私淑した賜だろう。
老を詠んでも妻を詠んでもいつも明るく俳諧性があって面白い。
年齢を重ねられても老を感じさせないのは英二さんの思慮深い人生観が如実に表われているといえよう。
 塩川雄三(「序に代えて」より)

「どっこいしょ」 保坂加津夫
「どっこいしょ」
保坂加津夫

若い時は「どっこいしょ」などと言わなくても行動に移せるのだが、
歳を重ねるにつれて何か行動を起こそうとする時、思わず「どっこいしょ」
と言葉が出て仕舞うのである。
しかし、私にとっては大切な言葉であり、生きている証なのである。
          (あとがきより)

「花枇巴」芦澤一醒
「花枇巴」
芦澤一醒
井戸掘って冬温き水妻へ汲む
妻の里牧舎の脇の蕨摘む
嫁ぎ来て妻に茶摘みの友増ゆる


妻女に苦労を掛けた
感謝の気持が句に滲み出ている。
妻女を詠った句集はあまり見当たらない。
この句集「花枇巴」は妻女へ贈るための句集でなかろうとしみじみ思うのである。
   …松崎鉄之介(「序」より)
「焙爐」平峯 蜉城
「焙爐」
平峯 蜉城
  白湯さして葉のひらきゆく利茶かな

利茶という季語は今まであまり詠まれていない、こんどのこの蜉城氏の作は近頃の秀作といってもいいものだろうと思う。
作者はこのみちの専門家であるし、作品も実に正純で誠実な真に充実した感じの作だ。
          …橋本鶏二
「風の星」 伊藤 眠
「風の星」
伊藤 眠

一人の女性としての視座からの即物的なねばり強い句作りである。
どれも俳諧的で飄逸、洒落の要素をもつ味わいに好感を持った。
「風の星」はこれらの句を核に様々な句が取りまいてきらめく星座を形づくっている。
  …大木あまり(「跋」より)

「秩父考」 山崎十生
「秩父考」
 山崎十生
考えるとは進むこと。
伝統の秩父に新たなる魅力。
是正すべき事は是正し、
残すべきものは残しておく。
これは、伝統を考える上で重要なことである。俳句も同然で、真の伝統を認識すべきである。 
           (本書より)
「卍」
伊藤白潮

句集名は恐山の大祭での、掲句より取った  卍はインドに相伝した吉祥の徳相で、功徳円満の意があるという。

「昭子」三宅昭久
「昭子」
三宅昭久

脳腫瘍で逝った娘の看護日誌…

だませしかだまされゐしかさみだるる
夭折の無念を思ふ濃かげろふ


…思いを伝えることができるだろうか?

「花城諷詠」山口 花城
「花城諷詠」
山口 花城
花城俳句は四季の移り変りを鋭く観察
した句から、喜怒哀楽をテーマした句
まで幅が広い。
            嶋田隆史(「序」より)

「銚子みやげ」
桶谷信子
  明易しつつけんどんな銚子弁

うれし、なつかしの気持があふれている。
何としても銚子は作者にとって、一番よい処だったのである。そうした思いは「銚子のみやげ」となって、俳句に詠まれ、読む者を愉しくさせてくれている。
             …小川恭生

「秋草」鵜野達二
「秋草」
鵜野達二
  啄木の想ひ唐黍焼く香り

誠実に丹念に人生を生きてきた人らしい思念の透明感が好もしい。
お人柄というのであろう。
人生の機微をわきまえた人のやさしさがにじむ作品ばかりである。
           伊藤敬子(「序文」より)


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