角川春樹 獄中俳句『海鼠の日』のご紹介です。
したたる血は清水のごとく、
もがれた手足はたましいの旅のごとく。
刑務所の中で私は、千五百から二千の俳句を作った。刑務所というのは特殊な環境で、小冊子になるくらいの遵守事項があって、やってはいけないことが山のように書いてある。それを破ると、懲罰の対象になる。そして一回の懲罰で、仮保釈が四か月延び、二回で満期まで待たなければならなくなる。そういう不自由な生活、檻の中で俳句を作り、本を読む生活をしていると、活字に対する思いが切実になっていく。切実に本を読むし、切実に俳句を作る。そして、かなり深い部分にまで、考えが届くようになる。
<灌仏の日に獄を出る海鼠かな>
(「あとがきに代えて」より)
●目次● 積らぬ雪 海鼠の日 短き遺書 獄の時計 あとがきに代えて スペシャルインタビュー 解説/角川春樹 未知の狩人 森村誠一 ●本書より● <母坐るところに春の風があり> <海鳴りの聞こえて暗き海鼠桶> <立春の夕日したたる鉄格子> <かりがねに空あけてある大和かな> <鶏頭に水のあかりや秋燕忌>
出版年月 | 2004年9月 |
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ISBNコード | 4-86173-058-9 |
税抜価格 | 1900円 |
頁数・縦 | 232P 19cm |