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| □投句欄 年間最優秀賞発表 |
「俳句界」読者投句欄<俳句ボクシング・俳句界雑詠>
年間最優秀賞発表
「俳句ボクシング」「俳句界雑詠」の各コーナーに寄せられた投句作品の中から、担当の選者に年間の最優秀句1句を選出していただき「年間最優秀賞」が決定しました。第3回となる今回は、2006年7月号から2007年6月号までの掲載作品を対象とし、ご覧の方々の作品が第一席に輝きました。
毎月の「W特選賞」とともに、今後もより一層の力作をお寄せいただきますよう、期待しております。
なお、年間最優秀賞受賞者へは、文學の森主催の《各賞贈賞式と懇親会》への無料ご招待状をお送りします。また、同日の贈賞式にては、選者直筆色紙と表彰状をお渡しします。
贈賞式は、11月27日(火)、東京會舘にて行われます。
■年間最優秀賞
■俳句ボクシング・赤コーナー (2006年11月号)
失恋の酒や胡瓜にマヨネーズ 名和 踊石
「俳句は簡単がよい」とは正岡子規の言。この句は「うまい俳句」でも「美しい俳句」でもなく、まさに「簡単な句」。マヨネーズをつけた胡瓜をつまみに「失恋の酒」を啜る姿は、侘しくもどこか滑稽だ。感情に流されないのも良い。簡単な言葉が人生の奥深さを感じさせ、味わいのある句である。
(辻 桃子)
■俳句ボクシング・青コーナー (2006年11月号)
八月のまがまがしきはジュラルミン 富澤 淳
チャンピオン句に推した際、「八月に反戦の思想を盛り込んで詠んだ俳句はこれまでにも無数あるが、ジュラルミンに〈まがまがし〉いとする感想を投入して一句を成した作品は、僕が見る限りではこれが初めて」云々と書いた。今、歴史が逆行する中において、この句の重要性を認識し、あえて推挙します。
(田中 陽)
■俳句界雑詠
銀座行くもろもろの鼻悴みぬ 佐藤 喜仙
(2007年6月号)
知らない人にしっかりと目を合わせてしまうと場合によっては厄介なことになりかねない。人の顔を見るとすれば視線は鼻に向けると実にさまざまな鼻が面白い。作者は鼻の形を密かに愉しんでいる。掲句の銀座を地方のいささか寂れてきた○○銀座を行き交う人と受け取って見ると益々以てこの悴む姿勢が納得いくように思われた。
(岩城 久治)
ダムの村とは万緑の凝るところ 万代 紀子
(2006年11月号)
「ダムの村」を「ダム底の村」あるいは「ダムの底になる村」と読めてしかたがない。「ダムを持った村」と読む方が自然なのかもしれないが、そういう読みは陳腐な読みとしかいいようがない。「万緑の凝るところ」には人間の暮らしという歴史が見えてくる。例えば山頭火の〈分け入っても分け入っても青い山〉に通じる哀しみが見えてくる。スケールの大きな俳句であって、単純な花鳥諷詠ではない俳句。人間の性にまで及んでいる。
(加古 宗也)
尉鶲現し身の流域なりと 清水 喜美子
(2007年6月号)
清水作品を六回も特選に採ったことに私自身驚いている。昨年の最優秀賞受賞者ゆえ、別人を考えてが、六回特選の事実は重い。「山々の奥処に吾が身吹雪けり」「黄泉平坂桃の籬のくるいなし」「仏壇の奥へ秋の七草摘みにゆく」「関東平野雪嶺へ身を反らす」「水草生うおもいでは足組むところ」そして受賞作。八十四歳、兜太門下の形而上作家の後健筆を祈る。
(齋藤 愼爾)
雲海の光る上行く旅初め 清水 みな子
(2007年5月号)
旅初めの句というと、バスか電車というイメージがあるが、この句は飛行機での旅。「初飛行」でなく、「旅初め」といったのがポイント。「初飛行」は旅とはかぎらないが、この句は「旅」でないと「雲海の光る上行く」の中七が生きない。作者はこの旅を楽しみに、期待にわくわくしながら飛行機に乗っているのである。雲海を「光る上行く」と捉えた表現も新鮮だが、何より「旅初め」の季語がいきいきと働いている。
(高橋 悦男)
初雪の短命僕は僕を抱く 神戸 千寛
(2007年4月号)
寂寥感と孤絶感。それでいて青春のあまやかさと清潔感を伝える。「初雪」、そして〈初雪の短命〉〈僕は僕を抱く〉の二句一章の力であろう。俳句は青年と老人のものという言もある。更なるよき作品を書き続けていただきたい。「雑詠欄」担当の間の、多くの作品との出会いに感謝しつつ。
(寺井 谷子)
古希過ぎてよりせかせかと亀鳴けり 藤田 房子
(2006年8月号)
「亀鳴く」という季題は好きな季題だけれども案外しっくりとこない。実感が無いのだ。この句には本人の実感と読み手の実感がシンクロした。私はまだ古希ではないが。俳句は茫洋としたまぬけさを忘れてはいけない。いつも優等生ばかりの俳句を見ることが多いせいか、ユーモアのある句が好きになってきた。古希も近い。
(坊城 俊樹)
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