2018  年 05 月号より
最近、大手の新聞社同士がお互いの記事にケチをつけていがみ合っている。そこへ週刊誌も加わって派手な見出しで双方を煽る。さらに妖艶な櫻井よしこ女史まで参戦して、賑やかなこと賑やかなこと。「Hanada」という月刊雑誌がある。編集長は花田紀凱氏。トップ記事に『朝日は死ね!』――これが日本のマスコミの良識か。そんな暇と金があったら<日本の良心、文學の森を応援しよう>と書いてくれないか。毎月赤字つづきでヒーヒー言いながら、ことし六月で創立十五周年を迎える。これは奇跡だ。四月六日付で林誠司編集長が退職。ある日突然、電話で退職の申し出があった。あえて慰留しなかった。小生もこの機会に社長職を辞任、寺田敬子に譲った。何も心配することはない。会社には経営資金がたっぷりある。不思議だけれどほんとうである。
2018  年 04 月号より
平昌冬季五輪はあまたの感動を残して成功裡に終わった。開会式は標高七百メートル、一面雪景色の中でクライマックスのカウントダウンが始まる。そのとき、大音響と共に巨大な白虎がシネラマで飛び出してくる。虎は朝鮮人にとっては特別な意味合いがあるのだ。虎は山神の化身で、邪気を払い民族の守り神と考えられている。民画に出てくる虎はギョロリとした目玉でどこか愛敬のある祖父のような表情だ。朝鮮の昔話は「昔、ホランイ煙草タンベを吸っていたころ」という出だしから始まる。日本の「昔々、ある所に――」という語り口と同じである。こんなに朝鮮人から親しまれた虎も、朝鮮戦争以降、韓国での出没の報告はいっさい無い。人類は片っ端から地球上の生物を絶滅に追いやってゆく。やがてこの地球も。
2018  年 03 月号より
東京にことし一番の大雪が降った夜、私はなかなか眠れなくて、ベッドの上で悶々としていた。ほんの十分ほどまどろんだだろうか、母が夢にあらわれた。洗面器でタオルをしぼって、私のひたいを拭いてくれている。懐かしさのあまり私はおもわず「オモニ――」と声に出して呼んだ。ああ――母はシャボン玉のように一瞬にして消え、二度とあらわれなかった。韓国には「死者に誘われて黄泉の国についてゆくと、もう二度とこの世には帰れない」という諺がある。あのとき、もし私が夢の母につれられて天国に行っていたとしたら……。先師の加藤楸邨先生や横山白虹先生と再会できたかもしれない。だが、私にはまだやり残した仕事がある。カーテンの外はうっすらと夜明けが近づいている。テレビは相変わらず東京の大雪のニュースを伝えている。
2018  年 02 月号より
韓国にはトッケビ(独脚鬼)という妖怪が棲んでいる。日本の幽霊や狐火とは異なる。<トッケビは棒でぶっ叩き、鬼神は経で追い払う>というと、どことなくユーモアをたたえた諺からもわかるように単なる観念的な神霊ではない。月の無い暗い晩、人けのない所に現れ相撲を挑んだり、また美しい女の姿で若者を誘ったりする。しかし、たいがいはいたずら好きで、美女のはずが実は火掻き棒であったとかいう伝承である。私が少年時代を過ごした土佐の高知には<シバテン>という妖怪が出現する。シバテンに出合うと「相撲を取ろう、相撲を取ろう」と誘ってくる。シバテンは河童の変身だから、水の中での勝負には圧倒的に強い。人間は腹を割かれ肝臓を吸いとられる。ここには無慙な悪鬼の世界が描かれ生きとし生けるものの有情の世界は微塵のない。噫。
2018  年 01 月号より
高知のしんじょう君、ゆるキャラ日本一──という新聞記事を見つけた。投票でご当地キャラクター日本一を決める「ゆるキャラグランプリ」に高知県須﨑市の「しんじょう君」が栄冠に輝いたのだ。須﨑市の新荘川で日本で最後に目撃された川瀬がモチーフ。私が少年のころカワウソが鮎をくわえて川を渡っている姿を見かけるのは珍しくはなかった。が、バブル経済を契機に毛皮のため乱獲され絶滅してしまった。高知県には最後の清流と呼ばれる「四万十川」がある。どちらも鮎漁で有名。毎年、六月の鮎解禁日には大阪・東京から大勢の釣人が押し寄せてくる。その人数に驚いた鮎は錯乱状態となり川原に跳ね上がり、こどもでも簡単につかまえることができる。自然保護のためには早めに手を打つことが肝心。カワウソの二の舞にならぬよう。
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