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■ 女性俳人精華50
「冬耕」
加藤サヨ子

サヨ子さんは寡黙で楚々とした麗人で、俳句はお人柄そのもので謙虚さの中にほとばしる情熱を感じる、誓子ばりの確かな写生の眼と的確な言葉の斡旋はまさに即物具象である。

塩川雄三(「序にかえて」より」

■ 女性俳人精華50
「郭公」
田中あき子

郭公のこゑに遠き日紛れけり

「遠き日紛れ」と詠んだ思いが胸に響くようである。その思いに魅かれ、敢てこの一集の題名とさせて頂いた。
    
木村敏男(「序」より)

■ 平成俳人群像
「椎の木」
竹中キミ子

薫風や住みて信じる宇治絵巻

作者は宇治に居住。ために「宇治絵巻」には住めば都的な思いがあるだろうし、また「宇治十帖」を踏まえての物語的な思い入れもあろう。宇治に係わる大樹の名を選んだわけだが、大きくは俳句という大樹にもつながって行く。

          
豊田都峰


■ オリジナル句集

「波の数」
磯野利秀

旅立ちの桜かくしといふ雪を

自分中心の世界より一歩踏み出した作品が見えはじめたことは注目してよい。「桜かくし」は桜の頃ふる雪をいう新潟の山間にのこる土地言葉である。

齋藤美規(「跋」より)

 
「海苔粗朶」
冨本のりお
常滑の海苔箔(海苔粗朶)を見たのは、いつの日であったか。中部国際空港が沖に出来て大分変わったであろうと、九月の後半、のりお氏の車で常滑の海岸を案内してもらった。のりお氏の幼い頃よく遊んだというそこは、港にまだ粗朶を用意しているところであったが、少し南の海辺にゆくと、

はや並ぶ海苔粗朶越えて秋の浪

というような光景で、すでに海苔粗朶が海に林立していて、九月にしては暑い日ざしが海を輝かせていた。

古田紀一(「序」より)

「韃靼の風」
大槻独舟
雪まつり韃靼の風尖り来る

雪まつりに賑わう札幌の、さらにはるか北方には、寒気極まる韃靼の国が広がっている。いま、雪まつりを襲う一陣の風は、その韃靼から尖りくるのだ。自然と吾との一刻一刻をゆったりとすくいとってきた独舟俳句の頂点をなす句だ。「独りゆく舟」の俳人の新しい方向を示唆するように思われる。
       
辻桃子

「地上絵」
足立悦子
句集『地上絵』の特色は、何といっても海外詠の多いことである。それもただ多いというだけでなく、その行く先々で、その国、その土地ならではの佳句を作っておられるということが素晴らしい。
       
(高橋悦男「序」より)

「こゑにして」
渡辺マチ子
渡辺マチ子さんの俳句は生活実感を書きながらも、その日常がただの日常の叙述に終わるのではなくて、深い境涯感として表出されている。
日常の情念が昇華されて、しんと澄んでくる。
       
竹本健司

「やさしい春」
森さかえ
森さんは決して難解な言葉は使わない。
あくまでもわかりやすい言葉で挨拶をする。
わかりやすく呼びかけるのである。
明るくユーモアに富んだ句は森さんの句の特徴をよく表している。
深刻ではなく、妙に陰険でもない。
確かに俳句で楽しんでいる。
だから読み手も森さんといっしょに楽しく遊べるのである。

谷口慎也

「草壁」
小川辰也

初みくじ熟読玩味致しけり

元旦、社寺に参拝して御神籤によって一年の吉凶を占う。
御神籤に書かれた意味をよく考え、じっくりと読んでいる。御神籤に書かれた占いの言葉は簡単ではあるが、熟読玩味と大げさに詠んだところが面白い。
       
小路紫峡

 

「三椏の花」
井田美和
医師であり長い間、中国との医療交流を続けて来た生前の主人に、私は上海の先生方の事や中国の事、散策の折に見た三椏の花のことなどよく話をしました。中国語を学んでいた頃の事です。その日々をなつかしく思いながら、句集名を『三椏の花』といたしました。

(「あとがき」より)
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