| ■ 女性俳人精華50 |
「芽生え」
太平栄子 |
|
雪代の枕にひびく生家かな
この句、戻って来た生家の夜具に身を伸ばし、枕にひびく雪代の音に聞き入っている。感慨深い俳句である。
林 徹
|
|
|
| ■ オリジナル句集 |
「蘆の芽」
嶋田昭三
|
|
水郷の日を使ひきるつばくらめ
水の町、佐原に住む「忍冬」同人の十五年間の集成。何気ない表現に、余情が光る。
|
|
| |
「お手玉」
山本町子 |
|
健やか確かな目を持ち、格調が高い。
季語の捉え方も学び育ててきている。
これは戦中戦後の暮しを厳しく処してきた
著者の人となりの証であろう。
浜 明史(「序」より)
|
|

「彩雲」
遠藤和彦 |
ばい瑰に故郷の海を想ひけり
流離は一つの悲哀である。しかし、この悲哀を詩に変えることで、流離から魂を救うことができるのである。それが情景俳句の到達点である〈融合の思想〉と言えよう。
小澤 克己(「序」より) |
|
|

「第一球」
佐藤二千六 |
|
第一球はまっすぐ八月十五日
忘れてならないものへの警句となった八月十五日の社会性は、逃げも隠れもしない鉈の一打の重量感になっている。
川村三千夫(「序」より)
|
|

「微塵光」
中川博秋 |
|
親鸞聖人の御和讃の中に微塵世界という言葉がある。広大無辺な全宇宙のことと解してるが、その微塵世界の中の、生きとし生ける諸々のいのちの数々は、更に微塵なる存在に等しい。しかし、みな”生”を全うすべく一瞬一瞬を光輝いている。
(「あとがき」より)
|
|
|

「古本茶話」
矢島康吉 |
この書は、一歩一歩着実に、味わうように時代の諸相を愉しみながら、それらを実りある心の風景にして生きてきた人にしか描けない。時の密なる足跡と定位置にある視線がそれを可能にする。淡々とした語り口、飾ることのない心情、古本を渉猟する歩調がいい。ほろ苦く、厳しくも哀しくもある人生を、こんなふうに過ごしていければ上首尾だと、みずからのそれに重ね合わせて納得させてくれる書でもある。
笹倉 明 |
|
|
|