12月, 2012 - 文學の森

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胸に火照りし

釣谷久仁子さんは抒情の詩人である。抒情は結社「河」の源流であり、今も滔々と流れている。その抒情の概念も多義的だが、感動の流露(岡崎義恵『近代の抒情』)が根底にあろう。その感動の流露が、釣谷さんの温雅で格調の高い一行詩・俳 […]

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福寿草

久子さんは農家の主婦として、自ずから農事に詳しく、それに関わる日常吟に佳句が多い。写生俳句の神髄を学んだ成果が句集の随所に見受けられる。多くの使用人を使っての家事は目の回るような忙しさで、ご苦労は並大抵ではなかったが、地 […]

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寺田寅彦

ユニークで豊かな鉱脈につながる物理学の新天地を、寅彦がどのようにして築いていったのかが本書を読んで合点がいった。それは漱石との交友によって培われた“真実を心眼で見抜く能力”と“句を詠む研ぎ澄まされた感性”によるものである […]

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夫婦箸

句集『夫婦箸』は海を詠んだ句が多いが、花を詠んだ句も多くまた、最後の一句が示すように御主人への鎮魂の句集でもあり、その世界は広く深い。 高橋悦男

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冬ざくら

今は亡き父母を始め家族との日々を顧みるとき、胸に込み上げてくる懐かしさが痛いほど伝わってくる。ことに「冬ざくら」に託された思いは、この句を印象深いものにしている。句集名はこの句に起因すると聞けば、ひとしお胸に響くものがあ […]

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サハラの星座

今や心に悩みや悔や不満は全くない程、全力投球の人生を送って来たので、イラクのウルやサハラ砂漠で見た日本の星の三倍位はある、すばらしい星々や、雲一つない満天の星座から句集名を拾った。 (「あとがき」より)

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本句集の大きな特徴を言い添えておこう。それは、収録句が従来のもののように年代順・季節順に並んでいないことである。 原則として見開き2ページ4句を1つの単位として作品が並べられている。さながら1面ごとに1句の風景が描かれて […]

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五秒前

祭りの緊迫した刻を捉えての句であり、作者の心意気の一句であろうと思うのである。 佐藤麻積(「序」より)

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華鬘草

「雪解」の有数の詠み手といわれた、多くの先生達と共にした研鑽によって、博子さんの俳句は平明を超えて心の洞察が加わって来ました。 俳句は作者を語ってくれます。十七音に一作家の句風の変遷、遍歴のあとが顧みられ、また人生への深 […]

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春の女神

一連の作品を読んでいて、この作者はかなりのロマンティストであり、夫々の詩情が確りとしていて曖昧さがないと驚きます。絵画や音楽にも造詣が深く、愉しい気分にもさせてくれるのも嬉しいことです。 佐久間慧子(「序」より)

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