1月, 2014 - 文學の森

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氷室の桜

どれをとって見ても、これが七十二歳で俳句を始めた人の作品だと思う人は一人もいないだろう。それほどまでにめりはりの付いた暮しをして、その暮しの中で句を詠んでいるから、一句一句が強く立っているのである。 茨木和生(「序」より […]

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蓮は実に

幼い頃から引っ越しが多く、十八歳で故郷岡山を飛び出してからも京都、大阪、三重、その中でも四日市、久居(現津市)と移り住み、現在は熊野の一隅にある御浜町で暮らしている私のこれまでを表している一句です。また蓮の実は大賀ハスの […]

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百日紅

江原家の庭の一隅には、八方に枝を伸ばした、古木の百日紅の一樹がある。どこから見ても見あきのしない赤い花を永く咲かせている。ご夫婦で農作業に出かける時いつも心に納めた花であろう。何回となく対話を尽した花であろう。情熱的な正 […]

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道灌の空

東京の下町に生れ、今、武蔵野の一隅に住む地が、日本が、そしてこの地球が、太田道灌の生きて治めた、室町時代の、汚れなく、澄んだ山水の武蔵の国のごとくあってほしいとの思いから、句集名を『道灌の空』とした。 (「あとがき」より […]

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赤道を止めて

人ニ畸ニシテ―― 北野元生は不思議な人である。元生の俳句形式との距離、この不思議な様相は、時流に迎合することはない。 大井恒行(「跋」より)

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京子さんは夢に向って歩いている人。またそれを継続し成しとげている人であると。詩舞・書道・茶道は三十五年前からずっとつづけられている。そしてはじめられた俳句は十九年前から、「夏爐」へは入会以来欠詠なく投稿され現在に至ってお […]

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壺天

「一壺天」は、一つの小天地、別世界、また酒を飲んで俗世を忘れる楽しみ、という。私は酒が好きであるが、俳句も好きで、ひとり俳句を作り推敲をしているとき、壺中の天に遊ぶような思いもする。 「あとがき」より

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上毛

光林さんは、上野国、群馬県太田市高林の出身。太田の呑龍様で知られる大光院の光明を拝して、仰げば上毛三山、目を伏せれば利根川の清流。その風土は彼の自尊とするところであり、彼の詩精神を興隆させてやまない。 落合水尾(「序」よ […]

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木の春

人間が火を用い始めた頃の原初の火をも感じさせてくれる「炎」である。 作者の心の中の炎でもあろう。 この詩性こそ作者の個性と私には思われる。 この炎を根っこに吉本宣子俳句の進展を、と願う。 中村和弘

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火の破片

私は選句をしつつ小説を読んでいる錯覚に陥った。なぜかと言えば、川越さくらこという人物の半生がドラマトゥルギーに満ちているからだ。掲句は、まさしく川越さくらこの「いのち」と「たましい」そのものだからである。 角川春樹

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