11月, 2014 - 文學の森

  • HOME
  • 11月, 2014 - 文學の森

蔵の窓

向日葵という植物は強烈な太陽を感じさせる。とにかくめっぽう明るい花だ。その明るい向こうに何代も続いたであろう古い蔵があって、暗い穴のような窓が見える。この明暗の対照に作者はふと人生を覗いてしまう。 加藤拝星子

MORE

雷鼓

俳句も絵画も求めるところは同じなのではないかと思える。そうであるなら、「命の輝きを求める」ということに繋がっているではないか。集中に、もし一句なりともこの「命の輝き」の片鱗を捉えられていたならば、望外の喜びである。 「あ […]

MORE

桐の花

再び上京して焦土と化した東京でクリーニング業を再開、ご苦労の末に業界の重鎮まで昇りつめることになりました。人一倍故里を愛し、父母を思い、郷愁の念を深くしながらも東京を終の棲家と決めた心境を詠んだ作品です。 環 順子

MORE

花筏

第一句集を上梓してそろそろ十年になる。なかなか厄介な病気と共に歩んだ十年であった。五十年に近い俳句人生であるが、八十歳を越えてはじめて、俳句の楽しさを知った気がする。私の傍らにはいつも、俳句があった。 「あとがき」より

MORE

蟻耕す

日々の暮らしの折々から豊かに俳句が湧き出した。これを読んでいるだけで、蟻人さんの暮らしが手にとるようにわかる。特に、季題は、農の生活の中から生まれたものだから、こういう実体験の農の俳句が詠まれることは、どんなにか季の世界 […]

MORE

囀りの椅子

全体を通して窺えたのは、なにか自分という場を、自分という量を探し、「重み」として意識しようというような歩みである。紫泉俳句は春の「囀り」に始まり、秋の「色鳥」に収まるが、まだ自分史は続く。冬を越えて、また「囀り」にぜひ繋 […]

MORE

炭塵

炭鉱に働く一俳徒として、季感の少ない坑内や職場を描写し得る範囲は限られている。しかし、ありの儘を虚飾なく詠い続けたいと願う思念があればこそ今日まで俳句し得たものと思う。 著者

MORE

風の余白に

松瀬むつ江には二つの流れがあった。創作のテンションが高まれば心象造型に針が動き、肩肘張らずに俳人気質に戻れば身辺詠に流れていく。その振幅をつづけながら、いま〈創る〉に向かって歩む姿勢がいちだんと濃くなった。松瀬作品が成熟 […]

MORE

翔つ力

「砂に刻みて」は実際の写生を超えた、冬鷗の飛翔に加勢しないでは居られない愛情のほとばしりが砂に刻ませたものであろう。 中坪達哉

MORE

水旨き

年々歳々、身近な自然と、めぐりくる季節相手の暮らしの中で、生まれて育って、いま生かされているこの地を愛しながら、俳句という宝物に向き合ってゆきたい。 著者

MORE