新刊情報 – ページ 2

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蒼穹

【オリジナル句集】
句集/蒼穹
著者/高崎市医師会俳句部
判型/四六判上製/カバー装
価格/3000円(税抜き)

光にも風にもなれて夏燕

医業、歯科医師業を後進に譲られ趣味として俳句の境地を極めようとされる先生方の俳句には、ある種の凄みを感じている。人の命を見つめる仕事の末に、人生を達観した先生方の俳句を鑑賞するのは私にとっても本当に勉強になる。僅か十七音されど十七音。季節の移ろいの中の自分を見つめ、季題を通して心境を述べる。そこにその作者の個性が自然と立ち顕われる。それが俳句という文芸である。

監修 木暮陶句郎
道草

【オリジナル句集】
句集/道草
著者/五明 昇
判型/四六判上製/カバー装
価格/2667円(税抜き)

道草は旅のはじまり筆の花

俳句を始めてから今年で九年目、学校でいえば中学三年の頃にあたる。子供に例えれば伸び盛りの頃で、俳句も声変わりしたように充実してきた。ご自身がこのために生まれてきたような心構えで俳句に取り組んでいる姿勢は、著者の偽りのない本心である。

星野光二
火の兄

【オリジナル句集】
句集/火の兄
著者/伊藤 径
判型/四六判上製/カバー装
価格/2500円(税抜き)

墨の絵の軍鶏や火の兄の風五月

大陸の深い井戸の中に杜甫が居た。そこから吹き起こす彼の息吹に次第に引き込まれる日々でもあった。韻と律を自在に駆使するその技法は、己を丸ごと詩的共鳴体にして同時に昇華していくという驚くべき業の世界でもあった。

「あとがき」より
永藤美緒遺作集 旅路の途中で

【オリジナル句集】
句集/永藤美緒遺作集 旅路の途中で
著者/永藤美緒
判型/四六判上製/カバー装
価格/私家版円(税抜き)

解説ー異界に憧れた少女(一部抜粋)

永藤美緒は幼いころから異界に憧れていた。しかし、異界の者たちは、彼女を早々と少女のうちに連れ去ることはしなかった。それは彼女が様々に生きることを味わっていた、命の輝きゆえだろう。その命の生んだものが、本書である。

今泉康弘
隠岐

【オリジナル句集】
句集/隠岐
著者/安部元気
判型/四六判上製/カバー装
価格/2667円(税抜き)

ふるさとの片蔭もなき浜ゆけり

出雲吟行の折、鷺浦の浜へ行った。ここは北前船が寄港したところで、今も古い港町の面影を残す建物が残り、軒並み屋号を書いた表札がかかっている。そこで見せてもらった古文書に、作者の家の持ち船が寄港した記録があった。はるかな時間がたちまち巻き戻されたような一瞬だった。折々はこんなふうに思いがけなく自分の祖先に出会ったりしながら、元気の旅はこれからも続くのだろう。

辻 桃子
主根鑑

【オリジナル句集】
句集/主根鑑
著者/志賀 康
判型/変形判上製
価格/2500円(税抜き)

根の族の空位に叫べ秋の石

もともとわたしの俳句は、地の深さに隠然と、しかししかと湛えられた存在の気に、時を経てたどりゆくものへの想いを強く持っていたように思う。本集を『主根鑑』(おもねかがみ)と名付けたのも、地中まっすぐに伸びてゆく一本の根に託したものの顕れであっただろう。

「後記」より