新刊情報 – ページ 105

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永藤美緒遺作集 旅路の途中で

【オリジナル句集】
句集/永藤美緒遺作集 旅路の途中で
著者/永藤美緒
判型/四六判上製/カバー装
価格/私家版円(税抜き)

解説ー異界に憧れた少女(一部抜粋)

永藤美緒は幼いころから異界に憧れていた。しかし、異界の者たちは、彼女を早々と少女のうちに連れ去ることはしなかった。それは彼女が様々に生きることを味わっていた、命の輝きゆえだろう。その命の生んだものが、本書である。

今泉康弘
隠岐

【オリジナル句集】
句集/隠岐
著者/安部元気
判型/四六判上製/カバー装
価格/2667円(税抜き)

ふるさとの片蔭もなき浜ゆけり

出雲吟行の折、鷺浦の浜へ行った。ここは北前船が寄港したところで、今も古い港町の面影を残す建物が残り、軒並み屋号を書いた表札がかかっている。そこで見せてもらった古文書に、作者の家の持ち船が寄港した記録があった。はるかな時間がたちまち巻き戻されたような一瞬だった。折々はこんなふうに思いがけなく自分の祖先に出会ったりしながら、元気の旅はこれからも続くのだろう。

辻 桃子
主根鑑

【オリジナル句集】
句集/主根鑑
著者/志賀 康
判型/変形判上製
価格/2500円(税抜き)

根の族の空位に叫べ秋の石

もともとわたしの俳句は、地の深さに隠然と、しかししかと湛えられた存在の気に、時を経てたどりゆくものへの想いを強く持っていたように思う。本集を『主根鑑』(おもねかがみ)と名付けたのも、地中まっすぐに伸びてゆく一本の根に託したものの顕れであっただろう。

「後記」より
旅の雲

【オリジナル句集】
句集/旅の雲
著者/杉浦きぬ
判型/四六判並製/カバー装
価格/2000円(税抜き)

さくら咲く城にとどまる旅の雲

句稿の終章で見たこの一句に、拙稿を綴る指先が躍った。これぞ、句集を代表する一句かと感動した。人生は旅、流れゆく雲も常に同じ容ではなく、城は栄枯盛衰の歴史を語る。それ等が今を盛りの桜と、一会の景を明るく染めている。

飯村寿美子
秋の蜂

【平成俳人叢書】
句集/秋の蜂
著者/川崎益太郎
判型/四六判上製/カバー装
価格/2667円(税抜き)

漂泊の表面張力すすき原

「漂泊の表面張力」という捉え方が魅力的で、「漂泊」という語義を詮索し始めると詰まらなくなりそうだ。風に揺れているような揺れていないような、芒原の広い広がりが見えてくる。その頼りげな広がりの感触を「漂泊の表面張力」と言う。陽光まで感じる。人っ子一人いない。

金子兜太
恋のぶぎぶぎ

【平成俳人叢書】
句集/恋のぶぎぶぎ
著者/川崎千鶴子
判型/四六判上製/カバー装
価格/2667円(税抜き)

まんげつの終着駅の海鼠かな

作者の受け取った風景を内面化している句。駅の人間の動きとか置かれているものを総合して、駅全体の印象が海鼠のようだと受け取ったのだと思う。満月に照らされているうらさびしいあまり大きくない駅の風景が見える。譬えというよりも終着駅の風景を感覚しているといった句。

金子兜太