新刊情報 – ページ 109

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偐紫今様源氏

【オリジナル句集】
句集/偐紫今様源氏
著者/鈴木砂紅
判型/四六判上製/カバー装
価格/2667円(税抜き)

紅梅のあさきゆめみしA列車

丁度娘が幼稚園の年長組の頃だったと記憶しているが、初めて句会なるものに参加してから、もう二十四年も経ってしまった。随分長い間飽きずに続けたものだと我ながら感心するが、その結実としてこのたび第一句集を上梓することが出来た。収録の句は平成十六年から二十七年まで、年代は関係なくテーマ別の五章立てとした。

「あとがき」より
三角点

【オリジナル句集】
句集/三角点
著者/山田和夫
判型/四六判上製/カバー装
価格/2667円(税抜き)

雲の峰三角点より立ち上がる

山田和夫氏は山男として自己の生涯を貫いて生きてきた人である。どのようにしてどこの山へ登ったか、というような細かい話はいっさい聞いたことがない。氏の山の句には「雪山賛歌」の詩と相似形の世界が十七音にしっかりと表現されていることを心からうれしく思った。

伊藤敬子
万巻の書

【オリジナル句集】
句集/万巻の書
著者/米村分水嶺
判型/四六判並製/カバー装
価格/2200円(税抜き)

秋来たる万巻の書の一頁

句集名『万巻の書』は、読書人、教養人である作者に似合っており、所を得た名といえる。漱石に心酔し、勉学に励んだ在りし日の作者の姿が垣間見えるようである。この句文集を米村さんの人生の分水嶺と喩えてみれば、この分水嶺からはさまざまな作者の思いの水脈が流れているのがわかる。たしかに句集というものは、俳人の分水嶺なのだ、と私は初めて気づいた次第である。

河内静魚
続 芽ぶき

【オリジナル句集】
句集/続 芽ぶき
著者/草本美沙
判型/四六判上製/カバー装
価格/2700円(税抜き)

一山をゆさぶつてゐる木の芽風

「・・・・・今の世、ともすれば薄れゆく感受性を豊かにするのは自然に相対し自然を詠じるのが一番手っ取り早い道ではなかろうか?自然の中には人間も入る。リーダーに育つ人ほど競争社会で和みも必要という気分を知って貰いたい」とう願ってきた。

「あとがき」より
曼珠沙華

【オリジナル句集】
句集/曼珠沙華
著者/藤田せつ
判型/四六判上製/カバー装
価格/2700円(税抜き)

心音と心音重ねうさぎ抱く

相手の心におのれの心を重ねることが、愛するということの本当の姿であろう。相手の心になって接するということ。せつさん自身のまぎれもない実感によって得られた句が、愛というものの本質に迫っている。

松浦加古
雁のころ

【オリジナル句集】
句集/雁のころ
著者/木野泰男
判型/四六判上製/カバー装
価格/2667円(税抜き)

遠き灯の疾き瞬きも雁のころ

抒情性あふれる自然詠の多いこの句集の雰囲気を集約しているような一句である。一口で云えば、風景抒情がこの作家の本領であろう。だが、二十八年に入ると、氏の作風は大きな変容を遂げレトリックを意識的に排し、主情をつとめて抑え、即物・即事への志向を強めるなど、境地の深まりを示している。氏のこれからを、大いに期待する所以である。

黛 執