新刊情報 – ページ 147

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踊り下駄

【オリジナル句集】
句集/踊り下駄
著者/浅田百合子
判型/四六判並製/カバー装
価格/1852円(税抜き)

旅支度まづは踊りの下駄手入

センスと意思とに恵まれた、さまざまな可能性を蔵している百合子さんには、時々ドキッとさせられることがあります。百合子さんの句は明るく屈託がなく作品に苦渋のあとがさらさらないのが魅力であります。これから作品がいかようになって行くか強い期待を抱かせてくれる人であります。

古賀雪江
秋扇

【オリジナル句集】
句集/秋扇
著者/野島梅二
判型/四六判上製/カバー装
価格/2667円(税抜き)

風涼し胸に名を持つ園児の輪

幼稚園か保育園を眺めての作。ぼくもときどき何気なく眺めているときがあるが、そういうとき、どの子にも元気に育って欲しいと願っていることに気付くのだが、「胸に名を持つ」はなかなか言えそうで言えない。ここに詩人の眼を持った野島さんがいるのだ。そして何より「風涼し」の「涼し」の季語の働きが素晴らしい。

森 潮
銀河

【オリジナル句集】
句集/銀河
著者/高橋ひさ
判型/四六判並製/カバー装
価格/私家版円(税抜き)

行廚や俯瞰の湖を霧が消す

行厨(こうちゅう)は、外出用の弁当をいうようだ。「行厨や」と、切字を用いて携帯した昼食の弁当を食している景を出現させ、次いで展望のきく高所から湖を見る。そして霧を移動させるという巧みな正攻法の描写である。俳句に必須な切字の効果が最大限生かされているといえよう。

岡崎光魚
静電気

【オリジナル句集】
句集/静電気
著者/庄子紅子
判型/四六判並製/カバー装
価格/2400円(税抜き)

昼顔にかすかに走る静電気

静電気は微妙で、一瞬であるが、するどい電流がからだの中を走り抜ける。一秒にも満たない時間だが、その衝撃感は、むしろ恍惚感さえ帯びて身をかけめぐる。庄子紅子俳句は誰もが持っている詩性のような感覚、これを暖かい知性で掘り起して、心を前へと向かせてくれる。

大牧 広
さくらさくら

【オリジナル句集】
句集/さくらさくら
著者/谷村和華子
判型/四六判並製/カバー装
価格/2500円(税抜き)

さくらさくら涙腺上に舞ふやうな

本句集は「さくら」の佳句が多いのに気付く。和華子さんの姿、立ち居振る舞いを、静かに眼を閉じて思い出すと、まさに日本の花、「さくら」のイメージが鮮明に浮かんで来る。それは、句集名『さくらさくら』へと昇華した。華麗に、そして悠揚と、晶晶と。

河野薫
大提灯祭

【ベストセラーシリーズ】
句集/大提灯祭
著者/柘植草風
判型/四六判上製/カバー装
価格/2476円(税抜き)

大提灯歴史絵撫づる風は秋

三河地方の西尾市一色町には、八月下旬に大提灯を飾ることで有名な祭りがある。大勢の人々が参拝に訪れ、一抱えもある大蠟燭へご神火を点火する頃には、境内は身動きもできないほどである。

「あとがき」より