新刊情報 – ページ 143

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花に帰す

【オリジナル句集】
句集/花に帰す
著者/梅津早苗
判型/四六判上製/カバー装
価格/2700円(税抜き)

枯野へと昭和がノイズたててゆく

「枯野」は、この世とあの世を繋ぐ「場所」である。そのトポスに対する「昭和がノイズたててゆく」の中七下五の措辞は、目の覚めるような強烈な景である。抽象的な「昭和がノイズ」は「父」のメタファーと考えられる。梅津早苗の「枯野」が持つ独自の世界観は、従来の俳句観ではなく、「魂の一行詩」が目指す道の一つである現代の「乾いた抒情詩」として評価されるべきなのである。まさに俳句から魂の一行詩への見事な変革と言ったらいいだろう。

角川春樹
菜の花の沖

【イカロス選書】
句集/菜の花の沖
著者/大高霧海
判型/四六判上製/カバー装
価格/2667円(税抜き)

菜の花の沖渺渺と火車の旅

先師のお伴をして西湖畔の太子湾公園に故李芒師の懇請に応えて桜五十本を植樹した、その桜の開花を確認の旅行の際の一句である。先師を助け日本の桜を贈るについて苦楽を共にしたことを回顧し、掲句から句集名を採ることにした。

「あとがき」より
生きて 生かされて

【オリジナル句集】
句集/生きて 生かされて
著者/和田 遊
判型/四六判上製/カバー装
価格/2593円(税抜き)

いかに生きいかに老ゆるか秋燕

大切な美しい日本語ですが、まだまだ知らないことだらけです。日常生活の言葉を学んでゆくうちに、それは私の身体に染み入っていきました。俳句と出会ってから見る私の住む街のなんと美しいことか。

「あとがき」より
山焼く

【オリジナル句集】
句集/山焼く
著者/小野たけし
判型/四六判並製/カバー装
価格/2500円(税抜き)

末黒野と見し遠屋根に焰立つ

小野たけし氏の俳句は男性的であり、太い弦を張った弓のように強靭な風格の俳句が多い。

小路紫峡
ピカソの壺

【オリジナル句集】
句集/ピカソの壺
著者/岡田史乃
判型/四六判上製/カバー装
価格/2700円(税抜き)

父からのピカソの壺や夏立ちぬ

「詩」と「俳」がつむぎあう独特の感性。強烈な美意識から生み出された作品群は大胆にして華麗。平成10年から平成27年までの三百十一句を収録。

白桃

【オリジナル句集】
句集/白桃
著者/山田初枝
判型/四六判上製/カバー装
価格/2700円(税抜き)

足早に毛虫の歩く残暑かな

平安期の短編集『堤中納言物語』に「虫めづる姫君」が登場する。「虫めづる」点は同じだが、初枝俳句はその虫の命を捉えて詠んでいる。吟行では、図鑑と大きな虫眼鏡が常備品だそうだが、作品はその苦労の結実といっていいだろう。

田島和生