新刊情報 – ページ 56

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虹の詩音

【オリジナル句集】
句集/虹の詩音
著者/あそひみ子
判型/変型判上製・函入り
価格/2000円(税抜き)

アスファルトに爆音蜃気楼逃げるから

およそ文芸というものは、未確認の自己を表出し。新しい自分を造型する、それを目的とするものだ。そのためには奔放・自在がどうしても必要、それなくて<創造>はできないのだ。ひみ子はそれに賭けて<うた>をつづけて来たものと思う。今はまだ未完だが、異彩は十分に放っている。

星永文夫(「序」より)
風のあと

【オリジナル句集】
句集/風のあと
著者/後藤むつ子
判型/四六判上製/カバー装
価格/2500円(税抜き)

むらさきの奈良の古墨よ夕薄暑

かつて激しくあった心は、年月を経て、静謐な場を知り穏やかな生命の姿が見えたのであろう。書家として俳人として存分に、あるがままを成して行かれることだろう。

佐藤麻績
後光

【オリジナル句集】
句集/後光
著者/尾籠宏子
判型/四六判並製/カバー装
価格/2000円(税抜き)

ほうたるの眠りし夜半の水明り

宏子さんの「不易」すなわち「後光」は五千石俳句であり師の説かれた詩精神であろう。それを一途に信じ、学びを深くする宏子さんの日常は明るく、常に新しい世界が開示されている。

上田日差子
春の雪

【オリジナル句集】
句集/春の雪
著者/大沢綾子
判型/四六判上製/カバー装
価格/2700円(税抜き)

夫の遺影胸に外に出る春の雪

『春の雪』は鎮魂の句集である。と同時に大沢さんにとって人生の一つの大きな区切りになったと思う。今後は、過去の悲しみは悲しみとして、自らの人生を見つめ、新しい自分の生き方を見つめなければならない。俳句はその良き伴侶となってくれると思う。

高橋悦男
春埠頭

【オリジナル句集】
句集/春埠頭
著者/疋田武夫
判型/四六判上製/カバー装
価格/2700円(税抜き)

春埠頭一日舫ふ浚渫船

横浜港も幾つもの河川が流れ込んでいるので、浚渫船をよく見かける。自身はエンジンを着けておらず、タグボートに曳航されて移動する。浚渫の仕事も無く、船舶の入出港も無い、静かな港の佇まいが確かに捉えられている。

石渡 旬
金港

【オリジナル句集】
句集/金港
著者/小倉わこ
判型/四六判上製/カバー装
価格/2700円(税抜き)

判定はしかと安部殿投扇興

正月の遊ぶの投扇興だ。「童子」の新年会では、句会の後に、必ず投扇興で競うのが恒例になっていた。その年の判定者は安部元気さんだった。「安部殿」と措いたことで、一句は江戸時代の芸者遊びにでも戻ったかのような雰囲気が漂う。わこさんの句風にはどこか江戸情緒があるのだ。

辻 桃子