新刊情報 – ページ 70

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補陀落

【オリジナル句集】
句集/補陀落
著者/山本則男
判型/四六判上製/カバー装
価格/2800円(税抜き)

巣藁ひく雀や吾子の十回忌

俳人に「男時」があるとすると、山本則男は今まさにその絶頂にいる。「白桃」伊藤通明に鍛えられた慥かな骨骼に、「銀化」の俳諧の風が加わり、更に融通無礙に飛翔する。その賜物として全国規模の大会の賞を軒並掌中にしている。句集名ともなった『補陀落』だが、集中に何句か補陀落の句を見る。これは逆縁で先に逝った子に対する鎮魂帰神の顕れであろう。

中原道夫
交響曲豊饒作品3

【オリジナル句集】
句集/交響曲豊饒作品3
著者/馬場吉彦
判型/四六判並製/カバー装
価格/3000円(税抜き)

枯峠越えて嫁ぎし姉見舞ふ

「天為」に加入させていただいて二〇年になる。これを機会に「天為」掲載句をもって第三句集を出版することにした。二〇年、二四〇ヶ月、一ヶ月五句だから、総計一二〇〇句からなる。発表順による完全な編年体である。

「あとがき」より
俗神(ぞろぞろ)

【オリジナル句集】
句集/俗神(ぞろぞろ)
著者/星永文夫
判型/変形判上製
価格/2800円(税抜き)

蛸壺に眠る晩年の逃避行

今回の句集のタイトル『俗神(ぞろぞろ)』に触れて思うのは、現在の仏教や神道以前にあった自然神、つまり、山川草木鳥獣虫魚にも宿るとされた古代の神々、いわゆる八百万の神々への憧憬がひそんでいる。とは言え懐古的・古代回帰的といった単なる復古思想ではない。

本多寿「序」より
種子

【オリジナル句集】
句集/種子
著者/森 潮
判型/四六判上製/カバー装
価格/2700円(税抜き)

我もまた一つの闇か胡桃の実

父は「お前は芭蕉を知らないから、駄目なんだ」と言った。私は笑いを堪えて、「芭蕉なんか知らなくてもりっぱな人間はいます」と口応えをしたのだったが、何日か眠られぬ夜が続いたある日、父の処女句集『雪櫟』を読んだのがいけなかった。素直に感動してしまったのだ。そして母の残念な死を思えば、父の仕事を続けさせることが、私の使命のように思えたのである。

「あとがき」より
からくり箱

【オリジナル句集】
句集/からくり箱
著者/塚本みや子
判型/四六判上製/カバー装
価格/2700円(税抜き)

噴水の裏は真実かもしれぬ

思索的とも思える一句である。噴水の様式、種類、デザインにもよるが、ふつう噴水に表や裏はないであろう。ゆえに表や裏を考えたり想像したりして噴水を眺める人はまず居ない。自分の立っている側が表、その向うが裏であろうか。立ち位置を変えれば全く逆にもなろう。真実は、裏側にありそうに思えるが、それとて立ち位置が変れば動く。はなはだ心もとない。が、どこかにあるはず、と思う。ここに、作者の真面目さが私には見える。なぜならば〈自分にとっての真実〉を求めることが文芸の根底だからである。

中村和弘
ながれぼし

【その他】
句集/ながれぼし
著者/山下厚子
判型/変形判上製
価格/私家版円(税抜き)

ぼくのそだてたあさがおがラッパのようにひらいたよ

歌人であり、俳人でもある著者が手掛けた絵本詩集。