
【オリジナル句集】
句集/遍路
著者/吉住光彌
判型/菊判上製/カバー装
価格/2667円(税抜き)
人は皆遍路の途中鰯雲
空一面に広がった鰯雲を観ていて、広大無辺な宇宙空間における人間の果無さや虚しさを実感したことが土台となって詠まれた俳句であろう。永年連れ添われた奥様を亡くされ、独り身となられてこれからの最晩年を如何に生き抜くかという覚悟の表れとしての句集と思われる。

【オリジナル句集】
句集/風の仮面
著者/日下野仁美
判型/四六判上製/カバー装
価格/2667円(税抜き)
若菜摘む母が来てゐるかも知れぬ
若菜を摘めば亡き母の魂がやって来る。句を詠めば、遠い過去の記憶がよみがえる。自然現象に多様な風の気と季を見つめ、朴落葉は詩的な「風の仮面」と化す。この世の未来を信じて、風に、草花に、星に、海に、孫に、森羅万象の実景に深い祈りをこめる。

【その他】
句集/偉大なる故郷
著者/井口三千子
判型/四六判並製/カバー装
価格/私家版円(税抜き)
一湾は風邪にかがよひ鰆干す
「平維盛が祖先だった!?」自身のルーツを探して佐賀県嬉野市塩田町近隣の歴史を辿る。巻末に俳句百句を収録

【俳句ライブラリー】
句集/体感
著者/横須賀洋子
判型/四六判並製/カバー装
価格/2095円(税抜き)
大根洗う一人娘を抱くように
句集『体感』は、私の第四句集です。私意識からの脱却をはかりたいと模索しながら半世紀を送りました。結局、「今日の自分自身」が、私の俳句の原点であることに変わりなく、いまも、生きるよすがに俳句をつくっています。

【オリジナル句集】
句集/万燈会
著者/西本才子
判型/四六判上製/カバー装
価格/2700円(税抜き)
杜の闇手を取り合うて万燈会
節分の夜、奈良春日大社の境内に連なる石燈籠と、寄進された回廊の釣燈籠に一斉に灯がともされる。底冷えの闇に浮き上がる灯が美しく、大社が最も典雅に輝きわたる時である。かつて師の綾子もここを訪れて句を残した。作者の感激も如何ばかりか、「手を取り合うて」に表れている。

【オリジナル句集】
句集/金魚
著者/矢島康吉
判型/四六判並製/カバー装
価格/2000円(税抜き)
掬わるることに慣れたる金魚かな
矢島さんの第一句集『紅枝垂』の出版の折、私は版元の編集者として手伝いをさせていただいた。それから十数年。心安く接することができる句という点では変わりはないが、随所に飄然とした可笑しみが漂うようになった。これは矢島さんの心懐に、一層の闊達さが加わったことに因るものだろう。今回の句集も厳選である。その潔さを佳しとしたい。