新刊情報 – ページ 153

  • HOME
  • 新刊情報 – ページ 153
春の雁

【オリジナル句集】
句集/春の雁
著者/所 山花
判型/四六判上製/カバー装
価格/2500円(税抜き)

斑猫の飛びて馬籠へ坂嶮し

本集は、一九五三年から一九八一年までの初期の作品を年代順に収めた。前半は「鶴」(石田波郷選)から、後半は「万蕾」からなる。 私は石田波郷の句集『雨覆』『借命』などに触れ、波郷に強く惹かれていたので、「鶴」再復刊の知らせは私にとっては本当に嬉しいことであった。

「あとがき」より
風の彩り

【オリジナル句集】
句集/風の彩り
著者/大沼遊魚
判型/四六判上製/カバー装
価格/私家版円(税抜き)

蝶の来て風の膨らむ遊園地

私の所属している俳句結社では、「伝統を尊重し新しさを求める」、この信念を初学教室時代から強く頭に叩き込まれてまいりました。先生方の声がいまだに耳奥に残っております。

「あとがき」より
花の窓

【オリジナル句集】
句集/花の窓
著者/赤堀洋子
判型/四六判上製/カバー装
価格/2667円(税抜き)

新緑や白磁の富士のさだまれる

これらの句に私はどのような鑑賞を捧げられようか。限りあるこの世を生きて俳句を楽しみ合うことを、祈るばかりである。

大坪景章
天上の榠樝

【平成俳人叢書】
句集/天上の榠樝
著者/桂 瑞枝
判型/菊判上製/カバー装
価格/2667円(税抜き)

榠樝の実ゆっくり熟れる安楽死

桂瑞枝は榠樝が大好きだという。林檎の花に似たその美しい花も、木瓜の実に似た固い歪な実も、みんな好きだという。美も歪もみなひっくるめて<わが生>と重ねているのだろう。その<榠樝>をもって亡き父母に捧げるという。きっと天上の食(じき)となって、心澄む自画像が完成するだろう。題して『天上の榠樝』という。悲しくも美しい、心やさしい句集である。

星永文夫
海見ゆる丘

【その他】
句集/海見ゆる丘
著者/中山くに子
判型/四六判上製/カバー装
価格/2593円(税抜き)

待ちわびし地元復興の開店日千の長蛇に入ろか我も

3.11の悲しみに明け暮れながらも、その後の様ざまな場面を歌の材料として詠んできた中山さんの作品。それらの中に新しい生活に向かって動きだすかすかな明るさが漂いはじめたような気のする作品である。当地の読者には全く説明の要らない作品群ではあるが、忘れようにも忘れられない一齣一齣が記録されている。

佐藤成晃
平成の麦飯

【オリジナル句集】
句集/平成の麦飯
著者/大野領子
判型/四六判上製/カバー装
価格/2593円(税抜き)

平成の麦飯うましとろろ汁

「あとがき」によれば、大野領子さんは昨年癌を患い入院を余儀無くされましたが、その時多くの俳句の友人から励まされ、自らも俳句に打ち込むことによって、日日脳裏をかすめる不安や緊張と闘い、 漸く「俳句を杖に立ち上がることができた」と術懐されています。そして<今生の今が負の時寒土用>と前向きに納得し、以前にも増して俳句に集中されていることはまことに心強く、喜ばしいことであります。

石垣青葙子