新刊情報 – ページ 165

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返り花

【オリジナル句集】
句集/返り花
著者/宇野慂子
判型/四六判上製/カバー装
価格/2667円(税抜き)

吊り太鼓早打ちまぜて報恩講

加賀おんならしく、控え目で慎ましやかな作者である。自らの意思というより、周囲の強い勧めに促されての上梓なのかも知れない。だが三十五年に及ぶ揺るぎのない作句歴と、確固とした作品の成熟度である。とっくに世に出ていて然るべき期待の句集と言っていいだろう。

千田一路(「序」より)
振舞酒

【オリジナル句集】
句集/振舞酒
著者/佐久間敏行
判型/四六判上製/カバー装
価格/2190円(税抜き)

どんどの火爆ぜて振舞酒こぼす

行き届いた写生と ふところ深い視点から 人生の機微や節目 身辺の哀歓を、明るく、 きりりと詠み上げる。

続 日月

【その他】
句集/続 日月
著者/小笠原杜陵
判型/文庫判並製・ビニールカバー
価格/952円(税抜き)

初春の普段着でゆく墓参り

杜陵さんの情は、生地盛岡を愛し、亡妻の生地秩父を愛し、終の地清瀬を愛す。この第二句集は、亡妻の鎮魂集であり、杜陵さんの情が色濃く織りこまれている。

河内静魚
ずつと鬼

【オリジナル句集】
句集/ずつと鬼
著者/菊川俊朗
判型/四六判並製/カバー装
価格/2381円(税抜き)

隠れん坊してゐて九月ずつと鬼

掲句は句集名を得た句でもあり、私はこの句に氏の俳句姿勢が語られていると思う。鬼とは探求者としての作者であり、俳句の課題なり目標なりを追究する姿なのである。そして九月とは人生の半ばを過ぎた今時分の身に譬えられる。過去を振り返る余裕とともに未来を見据えて、俳句のテーマを探るには一番適した時機なのである。

森岡正作
午後の風花

【オリジナル句集】
句集/午後の風花
著者/藤本とみ子
判型/四六判上製/カバー装
価格/2667円(税抜き)

この度とみ子は…〈時代〉すべてを集約して、ここに一冊の句集を編む。 題して『午後の風花』という。 美しく齢を重ねたものがやさしく紡ぐことばの〈はな〉を、午後の天空に舞わせているのだ。 わが心を浄化するように。

星永文夫
雪笑窪

【オリジナル句集】
句集/雪笑窪
著者/林 節子
判型/四六判上製/カバー装
価格/2667円(税抜き)

今日よりは一人の足跡雪笑窪

「雪笑窪」の章は泪が滲み、書き難い思いに悩まされた。この章はご主人への鎮魂とも相聞歌とも言える。終章近く迄姿を現さなかった人が、突として登場し他の章を凌ぐ。それだけ御主人が大きな存在であったことは、今更言うべくもないこと。

加藤房子